ヘアカラーをしたお客様から最も多くいただく質問のひとつが、
**「赤系と青系、どちらが色落ちが早いの?」**という疑問です。
結論からお伝えすると、
赤系(ピンク・ボルドーなど)は一般的に色落ちが早く、青系(アッシュ・マット)は比較的長持ちしやすい傾向があります。
ただし、この差には“色の特性・染料の種類・髪質・下地の明るさ”など多くの要因が関わっています。
この記事では、美容師歴20年以上・毛髪診断士として、色味別の色落ち速度の違いや、長持ちさせるためのプロ視点の対策を分かりやすく解説します。
(※関連:
▶ 「市販シャンプーとサロンシャンプーの違い」
▶ 「ドライヤーの熱は髪を傷める?」
▶ 「耐熱オイルと普通のオイルの違い」
など、カラーの持ちに関わる記事はこちらからご覧いただけます。)
赤系ピンク・ボルドーはなぜ色落ちが早い?

赤系が早く抜ける最大の理由は、
**「染料の構造」と「髪の表面に残りやすい性質」**にあります。
■ 表面に付着しやすい=シャンプーで流れやすい
赤系・ピンク系の多くは、
“直接染料”という大きめの染料分子を使うことが多く、内部というよりは髪の外層に留まりやすい特徴があります。
そのため、
シャンプーの摩擦
熱(ドライヤー・コテ)
紫外線
などの影響を強く受け、流出しやすい=色落ちしやすいのです。
■ 彩度(鮮やかさ)が高い色ほど変化が目立つ
ピンク・赤系は鮮やかさで成立しているため、
少し退色しただけでも**“色の変化が大きく見える”**のが特徴。
この「変化の見えやすさ」が“色落ちの早さ”につながって感じられます。
アッシュ・マット(青系・緑系)は比較的長持ちしやすい理由

青系アッシュやマットは、赤系に比べて
色落ちがゆるやかに見えやすい色味です。
■ 内部で発色しやすい染料が多い
アッシュ系の青・マット系の緑は、
酸化染料の組み合わせで内部に定着しやすい傾向があり、
退色スピードが穏やかです。
■ 退色しても“違和感が出にくい”
アッシュが抜けても、
・黄ばみ
・ベージュ
・ブラウン
へ自然にシフトするため、赤系ほど急激な変化を感じないのもポイント。
【色味別】色落ちの早さランキング

美容師目線で、一般的な色味の「色落ちの速さ」を分かりやすく並べるとこうなります。
■ 色落ちが早い順(左 → 右へ行くほど持ちが良い)
パステルピンク → ビビッドピンク → 赤・ワインレッド → オレンジ → イエロー → ミルクティー → アッシュ(青系) → マット(緑系) → ブラウン → 黒
最速で落ちるのはパステルピンク系、
最も持つのはブラウン〜ブラックです。
実際には“同じ色でも持ちが変わる”理由

色味以外にも、色持ちを左右する要因があります。
■ ① ベースの明るさ
ブリーチをして明るいほど、
髪の密度が下がり色素が抜けやすくなります。
■ ② 髪のダメージ・多孔性
ダメージ毛(多孔性毛)はキューティクルが開き、
色素が外に流れやすい状態。
⇒ 赤系は特に影響を受けやすい色味です。
■ ③ 染料の種類
永久染毛(酸化染料) → 長持ち
半永久(直接染料) → 早く抜けやすい
カラートリートメント → 一時的、シャンプーで流れやすい
■ ④ 紫外線・熱ダメージ
紫外線は赤系を分解しやすく、
毎日のコテ・アイロンも色落ち加速の大きな要因です。
色味を長持ちさせる専門的な方法

サロンでできる対策と、自宅でできる対策を分けて紹介します。
【サロン施術】色持ちを最大化する方法(プロ向け)
■ ① 酸化染料をしっかり内部に定着させる
直接染料だけに頼りすぎず、
内部の酸化染料×表面の直接染料のダブル構造が最も持ちやすい。
■ ② フィラー(内部補修)で下地を作る
色が抜けやすい髪には、
油分・タンパク補修でキューティクルを整えることが必須。
■ ③ 仕上げに残留アルカリ除去やpH調整
キューティクルを閉じて色素の流出を防ぐ。
■ ④ 紫外線カット成分・耐熱処方を併用
退色防止にかなり有効。
【ホームケア】お客様に伝えるべきポイント
■ ① カラー専用の弱酸性シャンプーを使う
アルカリが強い市販品は色落ちを早めます。
(参考記事:▶ サロンシャンプーと市販シャンプーの違いはこちら)
■ ② 熱ダメージを減らす
ドライヤー・コテの設定温度を低めに。
(参考記事:▶ 安いアイロンは髪を傷める?専門記事はこちら)
■ ③ カラーマスク・カラートリートメントを週1回
赤系なら赤補充、青系ならアッシュ補充で色持ちが大幅に改善。
■ ④ 紫外線対策は必須
外出前にヘア用UVスプレーを使用するだけで退色が抑えられます。
どんな色でも持たせるためには「下地×染料×ケア」がすべて重要

「赤系は早く抜ける」「アッシュは持つ」
という一般的な認識は正しいですが、
実際にはベースの作り方・染料の選び方・ケア方法で色持ちは大きく変わります。
特に赤系・ピンク系・パステル系は、
**“落ちやすい色ほど、ケア次第で差が出る”**カラーです。
あなたが次にカラーを楽しむ際は、
今回の内容を参考にして、ご希望の色味を長く楽しんでください。