「白髪染めとオシャレ染め(ファッションカラー)、どっちの方が髪にダメージが大きいの?」――美容室でよく聞かれる質問です。20年以上美容師としての現場経験とプロ毛髪診断士の視点から、違いを詳しく解説します。
白髪染めとファッションカラーの基本的な違い

まずは両者の仕組みの違いを知ることが大切です。
白髪染め(グレイカラー)
- メラニン色素が少ない白髪に染料をしっかり定着させる必要があるため、アルカリ濃度や染料濃度が高めに設定されていることが多い
- 酸化染料(ジアミン系)が多く配合され、深く濃い色を髪に入れる設計
- 脱色力(ブリーチ力)はファッションカラーより弱めだが、染料の浸透と定着を優先している
ファッションカラー(オシャレ染め)
- 明るい色味や透明感を出すため、脱色力(ブリーチ力)が強いことが多い
- 白髪染めより染料濃度は薄めだが、髪のメラニンを壊して明るさを出す工程がある
- トーンアップする場合はダメージが大きくなるが、暗めに入れる場合は比較的ダメージが少ない
つまり、白髪染めは「脱色力(ブリーチ力)は弱めで、アルカリ濃度や染料濃度が高め」という特徴
ファッションカラー(オシャレ染め)は「脱色力(ブリーチ力)が強めで、アルカリ濃度や染料濃度は、明るさや色によって変わる」という特徴
ダメージの発生要因

ダメージの発生要因としては、大きく分けて3つの要因があります。
- アルカリの強さ → キューティクルを開き、髪内部のタンパク質流出や乾燥の原因に
- 酸化力(過酸化水素濃度) → 髪内部のメラニンやケラチン構造にダメージ
- 繰り返し頻度 → 白髪は根元からすぐに目立つため、短いサイクルで染める人が多く、結果的にダメージが蓄積
どちらがより傷む?短期 vs 長期の視点

ダメージの判断基準には「1回あたりの強さ」と「長期的な蓄積」の2つがあります。
「1回あたりの強さ」はアルカリの強さと酸化力(ブリーチ力)と比例するので、仕上がりヘアカラーが明るければ明るい程、受けるダメージが強くなります。
「長期的な蓄積」はダメージを受ける回数と比例するので、ヘアカラーをすればする程、受けるダメージが強くなります。
- 短期的ダメージ:ファッションカラー(特に明るめのヘアカラーや、ブリーチ)が強い
- 長期的ダメージ:白髪染め(高頻度での繰り返し)で大きくなりやすい
つまり、1回のカラーではファッションカラーが傷みやすく、長期的には高頻度で繰り返す白髪染めの方が髪に負担をかけやすいと言えます。しかし、ファッションカラーも高頻度で長期的に繰り返すのであれば、1回あたりの負担が大きいファッションカラーの方が長期的にもダメージが大きいと言えるので、基本的にはどちらがダメージが大きくなるという訳ではなく、アルカリの強さと酸化力(ブリーチ力)が強い「明るめのヘアカラー」が傷みやすいと覚えておきましょう。
ダメージを抑えるための工夫

白髪染めの場合
- 基本は根元リタッチで、毛先まで全体カラーを繰り返さない
- 酸性カラー(ヘアマニキュア)や、カラートリートメントを併用
ファッションカラーの場合
- 必要以上に明るさを上げず、弱アルカリカラー・酸性カラーを選ぶ
- ブリーチを使う場合は必ずケアブリーチ+集中トリートメントをセットで
まとめ:自分のライフスタイルに合ったカラー選びを

「白髪をしっかり隠したい」か「デザインを楽しみたい」かで、選ぶべきヘアカラーは変わります。
髪のダメージが心配な方は、信頼できる美容師に相談しながら可能な限り髪に優しいヘアカラーを取り入れましょう。
当サイトでは「髪と頭皮の健康を守るための最新情報」を随時発信しています。
ぜひ他の記事もチェックしてみてくださいね。