シャンプーを変えた途端にフケが増えたり、逆に改善した経験はありませんか?
実はフケは「乾燥」だけで起こる単純な現象ではなく、皮膚のバリア機能・皮脂量・微生物環境・体調・ストレス・季節・製品処方など、多くの要因が関わります。
本記事では、美容師や毛髪診断士の現場でも曖昧に扱われやすい「フケのメカニズム」と「シャンプーによる影響」「体調による増減」までを専門的に解説します。
フケはなぜ出る?|基本メカニズム

フケの正体は「頭皮の角質細胞」です。人間は毎日皮膚が生まれ変わっていますが、通常は目に見えないレベルで剥がれ落ちます。
しかし、何らかの理由でターンオーバー(皮膚の生まれ変わりの周期)が乱れると、角質が未成熟のまま大量に剥がれ落ち、目視できる“フケ”になります。
頭皮でフケが増える流れは下記の通りです。
頭皮のバリア機能が低下する
炎症やマラセチア菌が増える
ターンオーバーが早まり(例:28日→10〜14日)
フケとして大量に剥がれる
ポイントは 皮脂・菌・炎症・バリア機能 の4つが関わることです。
フケには2種類ある(ここが最重要)

フケは「乾性」と「脂性」に分類され、原因と対策が異なります。
乾性フケ(Dry Dandruff)
特徴
・白く細かい
・パラパラ落ちる
・頭皮が乾燥しやすい
・かゆみを伴うことがある
主な原因
・洗浄力の強いシャンプー
・界面活性剤による過脱脂
・石鹸系や硫酸系シャンプー
・季節による乾燥(冬)
・敏感肌やアトピー傾向
・ドライヤーの熱ダメージ
脂性フケ(Oily Dandruff)
特徴
・黄白色〜クリーム色
・しっとりして大きめ
・皮脂が多く臭いが出やすい
・赤みや炎症を伴うことがある
主な原因
・皮脂分泌過多
・マラセチア菌の増加
・脂漏性皮膚炎
・ホルモンバランスの変化
・ストレスや寝不足
✔ ここで多くの人が誤解する点
「フケ=乾燥」ではありません。
脂性タイプも非常に多く、原因も対策も異なります。
シャンプーでフケが増える理由と仕組み

シャンプーの違いでフケが増減することはよくあります。特に影響が大きいのは下記の3つです。
① 洗浄成分(界面活性剤)の種類
代表的な洗浄剤の性質を比較します:
| 洗浄成分 | 洗浄力 | 脱脂性 | フケリスク |
|---|---|---|---|
| ラウレス硫酸Na / ラウリル硫酸Na | 強い | 強い | 乾性フケ↑ |
| αオレフィン系 | 強い | 強い | 乾性フケ↑ |
| 石鹸系 | 強い | 強い+アルカリ化 | 乾性フケ↑ |
| アミノ酸系 | 弱〜中 | 弱 | 低リスク |
| タウリン/ベタイン系 | 中 | 中 | バランス良 |
乾燥肌・敏感肌の人が硫酸系を使うと乾性フケが増えやすい理由は、
皮脂膜が剥がれ、バリア機能が低下するためです。
② シャンプーのpH
頭皮は弱酸性(約pH5.5)ですが、石鹸系はアルカリ性。
すると、
・角質が膨潤
・バリア機能低下
・乾燥&炎症
→ 乾性フケが増加しやすい
③ 添加成分・香料・植物エキス
以下も炎症要因になります:
・防腐剤
・合成香料
・エッセンシャルオイル
・植物エキス
アレルギー体質の人は要注意です。
「実は体調で増えていただけ」というケースも普通にある

お客様からよくある質問として、
「シャンプーの種類は関係なく、体調でフケが増減することはありますか?」
答えは あります。しかも頻繁に起こります。
体調でフケが増えやすい理由
✔ ストレス → コルチゾール増加 → 皮脂分泌増加
✔ 寝不足 → 皮膚代謝乱れ → 炎症+皮脂増加
✔ ホルモン変動(PMS/更年期/産後)
✔ 高脂肪な食事 → 皮脂増加
✔ ビタミンB2/B6不足
✔ 季節(夏は皮脂/冬は乾燥)
✔ 汗・紫外線・花粉・PM2.5
✔ アトピー性皮膚炎体質
特に脂性フケは、
皮脂 × マラセチア菌 × 炎症
の3つで成立するため、
ストレスや季節変動の影響を強く受けます。
フケは「シャンプーだけ」でも「体調だけ」でも説明できない

ここが一番大事な本質です。
フケは
①皮脂
②菌(マラセチア)
③炎症
④バリア機能
の4要素で成立するため、
✔ シャンプー処方だけ
✔ 体調コンディションだけ
では説明できません。
フケが出やすい人のチェックポイント
フケが出やすい人は以下に当てはまることが多いです:
□ 頭皮が乾燥しやすい
□ 洗浄力の強いシャンプーを使用
□ 石鹸系でキシむ/かゆい
□ 脂っぽくなりやすい
□ 赤みやかゆみがある
□ 季節で変動する
□ ストレスや寝不足が多い
□ 高脂肪の食事が多い
□ ビタミン不足
□ 花粉・PM2.5など外因刺激あり
5つ以上当てはまる場合は改善余地があります。
まとめ|フケは複合要因で起こる頭皮のサイン

本記事の結論を整理すると、
✔ シャンプーの種類はフケに影響する
(洗浄力・pH・添加剤・界面活性剤)
✔ 体調や季節でもフケは増減する
(皮脂・ホルモン・ストレス・睡眠・栄養)
✔ 乾性と脂性で原因も対策も違う
ということです。
つまり、
「フケ=乾燥」ではなく、
物理(界面活性剤) × 生理(皮脂・菌) × 体調(ホルモン・睡眠)
の3軸で理解する必要がある
というのが正しい頭皮科学です。